『薬屋のひとりごと』は、多くのファンを魅了する作品で、漫画は二つのバージョンが存在します。
しかし、これらのバージョンの違いは一見すると分かりづらいです。
この記事では、
- コミカライズ版が二種類ある理由
- どっちが原作小説に忠実なのか
- どっちの漫画の売上や人気が上なのか
- どっちの漫画バージョンがおすすめなのか
- どっちがアニメ化したのか
といったことを調査、比較してまとめました。
本記事を通じて、「薬屋のひとりごと」の各バージョンの特徴や魅力を深く理解し、最も楽しめるバージョンを見つけてください!
『薬屋のひとりごと』の魅力
まずは簡単に作品を解説。
『薬屋のひとりごと』とは、中華風の架空の帝国を舞台に、謎解きとロマンスが絡み合うファンタジー作品。
主人公の薬に詳しい少女「猫猫」(マオマオ)が、後宮の陰謀や謎を解き明かしていくストーリーは、読者を引き込みます。
原作は作家「日向夏」さんが執筆する小説。
小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していたところ人気を出て、二種類のコミカライズ版の連載がスタート、ドラマCD化もしています。
- 『月刊ビッグガンガン』にて連載中『薬屋のひとりごと』(構成:七緒一綺、作画:ねこクラゲ
- 『月刊サンデーGX』にて連載中『薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜』(作画: 倉田三ノ路)
そして、2023年9月にはシリーズ累計2400万部を超えて、2023年10月21日(土)からはアニメ放送も開始!
作中登場人物と同じように、成長、進化し続けるところも目が離せない理由の一つです。
『薬屋のひとりごと』の躍進&刊行年表
年月 | 出来事 | 公式サイト |
2011年10月 | 小説投稿サイト「小説家になろう」にて連載スタート | 「小説家になろう」の ページ |
2012年 | 主婦の友社の「Ray Books」レーベルから単行本として発売 | |
2014年 | ライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」にて第1部が新装刊 (2018年11月以降はイマジカインフォス) | ヒーロー文庫 特設サイト |
2017年5月 | 『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)にて コミカライズ版『薬屋のひとりごと』 (構成:七緒一綺、作画:ねこクラゲ)の連載スタート | ビッグガンガンの ページ |
2017年8月 | 『月刊サンデーGX』(小学館)にて別のコミカライズ版 『薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜』 (作画: 倉田三ノ路)も連載スタート | 月刊サンデーGXの ページ |
2019年 | 『アニメ化してほしいマンガランキング』入り (ここから3年連続トップ10入り) 『次にくるマンガ大賞2019』コミックス部門で第1位 | |
2023年9月 | シリーズ累計2400万部突破(PR TIMESニュース) | |
2023年10月 | テレビアニメ放送スタート | アニメ公式サイト |
薬屋のひとりごとの躍進は、まだまだ続きそうです!
>>【薬屋のひとりごと】猫猫の正体と壬氏との関係をわかりやすく解説
原作者日向夏さんが語った『薬屋のひとりごと』コミカライズが二つある理由
『薬屋のひとりごと』に何故二つのコミカライズ版があるのか、その理由は原作者である日向夏さんがX(旧Twitter)上で答えていました。
私にもわからないから困惑していたのです。
なんと、わからない…!
もちろんこれが真相かは分かりませんし、理由や背景を推察する読者もたくさんいます。
- 二つあればもう一つと比べたり、原作と比べたりするだろうからそういう戦略だ
- どうしても漫画化したいっていう漫画家(or出版社)が二つあったんだろう
等々。
しかし、どういった理由にしても、異なる出版社と作画、構成作家によって生み出された二つのバージョンは、それぞれ異なる輝きを放っています。
『薬屋のひとりごと』コミカライズ二つの売上・人気・内容・魅力はどっちが上?
コミカライズ版『薬屋のひとりごと』の二つのバージョンには、タイトルの違いの他に、どういった違い、魅力があるのでしょうか。
人気や内容の違いに着目しました。
コミカライズ版の売上や人気はどっちが上?
『薬屋のひとりごと』はシリーズ累計発行部数2,400万という数字しか公表されていないため、それぞれの発行部数や売上などは不明です。
ただ数百万冊を取り扱うAmazon Kindleストアで薬屋のひとりごと1巻を調べてみたところ、評価件数に差がありました。
2023年10月現時点では次の通りです。
- ビッグガンガン版は4,586件
- サンデーGX版は1,729件
ビッグガンガン版の薬屋のひとりごとの方が評価件数が多いと分かります。
ただどちらも星4.5と高評価、どちらも「面白い」と評価されていることは間違いありません。
コミカライズ版の内容はどう違う?
コミカライズ版の内容の違いについても比較します。
原作とコミカライズ二種類を全て読んでみたところ、基本的には多少時系列が前後することもありつつも、原作の内容と大きくズレることはありませんでした。
大きな違いは絵と原作への忠実さです。
月刊ビッグガンガン版は美しく洗練された構図、スピード感などが特徴です。
月刊サンデーGX版は原作に沿った、丁寧な物語展開が特徴です。
例えば、この物語は冒頭で主人公の猫猫が人さらいにあって後宮で働くことになるのですが、次のような違いがあります。
- 月刊ビッグガンガン版…人さらいにあう描写は1コマ
- 月刊サンデーGX版…人さらいにあう描写は1ページ
また、壬氏はただの下女でありながら上級妃の子を救おうとした猫猫を探し出す際、同じ特徴を持つ下女を一か所に集めました。
ここの描写にも違いがありました。
原作の流れ
- 壬氏が集めた下女たちに「居残れ」という書付けを見せて、帰っていいと言う
- 猫猫は文字が読めるので微妙に反応
- 部屋にいる下女たちは文字が読めないから帰る
- 猫猫は集められた下女みんなにそばかすがあると気づく
- 壬氏につかまる
月刊ビッグガンガン版の流れ
- 壬氏が集めた下女たちに「居残れ」という書付けを見せて、帰っていいと言う
- 猫猫は文字が読めるので居残ろうとする
- 部屋にいる下女たちは文字が読めないから帰る
- 猫猫は文字が読める人物を探しているのかと気づく
- 壬氏につかまる
月刊サンデーGX版の流れ
- 猫猫が集められた女子たちに対して、みんな似た顔つきと気づく
- 壬氏が集めた下女たちに「居残れ」という書付けを見せて、帰っていいと言う
- 猫猫は微妙に反応するも、すぐに文字を読める下女を探しているのだと気づく
- みんなに紛れて帰ろうとする
- 壬氏につかまる
ビッグガンガン版でも不自然ではありませんが、サンデーGX版の方が壬氏は猫猫の人相を覚えていて探そうとしていたんだと分かりやすいですよね。
こういった違いが各所にみられます。
>>【薬屋のひとりごと】玉葉妃の魅力を徹底解析!美しき貴妃の知られざる一面とは?
>>【薬屋のひとりごと】梨花妃を徹底解析!事件のあと子供は生まれた?
薬屋のひとりごと原作が間違えたところをコミカライズで修正?
また、ちょっと手厳しい意見として原作の間違いをコミカライズで修正しているという読者の意見もありましたのでご紹介します。
tom********さん 2020/2/25 10:21
GXの方が原作に近く尚且つ原作で間違えてる中華風の設定を修正してある、原作では将棋の駒が日本の将棋なのにGX版では中国将棋シャンチーに修正されてたり。
BG版はイラスト重視で原作から抜けてる部分が多い、芙蓉妃の話なんぞ前後が完全に抜けていたり、青い薔薇で使う水晶宮のサウナの話がなかったり。
>>Yahoo!知恵袋より一部引用
本作は架空の中華帝国が舞台なので、そこまで厳しく見るのも酷かとは思いますが、世界観に浸りたいという方にとっては重要かもしれません。
つづいて、もう少し詳しく、二つのコミカライズそれぞれの魅力についてご紹介。
壬氏が気になる方はこちらもチェック!
>>【薬屋のひとりごと】壬氏の正体や声優や関連キャラクターまで総まとめ
月刊ビッグガンガン版の魅力は美麗ビジュアル!
だいぶ前に送っていただいた薬屋のひとりごとフランス版の超BIGショッパー!ねこクラゲ先生の美麗で鮮やかなイラストが映えてます✨ pic.twitter.com/soHsbMoe7e
— 七緒一綺 (@7O_1KI) September 23, 2023
- ビジュアル重視のアートスタイル
- キャラクターの豊かな表情と動き
- ラブコメディ要素の強調
- 猫猫が丸っこくてかわいい
月刊ビッグガンガン版『薬屋のひとりごと』は、美麗で洗練された構図が特徴と言えます。
キャラクターの表情や動きが豊かで魅せ方がうまく、視覚的に楽しめます。
ともあれ、薬屋のひとりごとはいい作品だからみんな読んで。ひねくれてて、聡明で、毒が大好きで表情豊かな猫猫かわいいよ。 pic.twitter.com/VH1UMKVaUx
— るー (@RrrRrrr31) November 20, 2019
ラブコメディ要素も強調され、軽快で楽しい雰囲気も魅力です。
このバージョンは、美麗な中華ファンタジーを楽しみたい方や、ラブコメディが好きな人に特におすすめです。
あとはエピソードが短い分だけ早く進むので、例えば月刊ビッグガンガン版12巻のエピソードは、月刊サンデーGX版では13巻に収録されているといった違いもあります。
月刊サンデーGX版の魅力は原作に忠実な点!
薬屋のひとりごと比較
1.ビッグガンガン版
2.サンデーGX版
1の方はTwitter広告によく出るから見た事はある人多いのでは?
2のサンデーGX版は少しリアル路線だけどそれがちゃんとキャラの性格、考えに反映されてる気がする。
どちらも良いけど絵柄で選ぶならガンガン、演出描写ならGXかな、 pic.twitter.com/3F9YBzIKWi— 篠本@TZR-R1 (@acesino04) June 22, 2022
- シンプルで直接的なビジュアルスタイル
- 原作に忠実なストーリー展開
- キャラクターの心情に焦点
- 猫猫の塩っぷりが原作通り
月刊サンデーGX版『薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜』は、原作に忠実なストーリー展開とシンプルで直接的なビジュアルが特徴です。
ストーリーとキャラクターの心情に焦点を当て、深みのある描写が楽しめます。
このバージョンは、原作の雰囲気やストーリーを大切にしたい人、深みのあるストーリーが好きな人に特におすすめです。
サンデーGX八月号の薬屋のひとりごと そしてラストがとても分かりやすい。さすが漫画の表現力ですね。これからこの診療所でとてもよくない事件が起こる事がはっきりと予告されている。 pic.twitter.com/zsYmtTvQUe
— ふうい (@strange_taste) July 19, 2022
また、こちらの方が刊行速度が速く、2023年10月時点では月刊サンデーGX版の最新刊は17巻、月刊ビッグガンガン版は12巻となっています。
「早く漫画で原作のあのエピソードを読みたい」という方には嬉しいですよね。
>>【薬屋のひとりごと】陸孫の正体はただの副官ではない?求婚話や過去を解説!
『薬屋のひとりごと』はどっちがおすすめ?メリット・デメリットから読む順番を解説
コミカライズされた『薬屋のひとりごと』の二つのバージョンは、異なる魅力がありますが、片方のメリットはもう一方のデメリットになることも…。
ここでは各コミカライズのメリットとデメリットに触れ、原作小説と読む際のおすすめの順番3選をご紹介します。
月刊ビッグガンガン版を選ぶメリット | 月刊ビッグガンガン版を選ぶデメリット |
美麗なビジュアルを楽しみつつ、 サクサク物語が進んでいく | エピソードが必要最低限になっている部分が多く、 説明不足に感じるところも… |
月刊サンデーGX版を選ぶメリット | 月刊サンデーGX版を選ぶデメリット |
原作ファンにも嬉しい丁寧な物語展開 謎解きも分かりやすい | 月刊ビッグガンガン版を読んだ後は 絵柄や構図が若干物足りなくなる |
月刊ビッグガンガン版は美しくて魅せる絵柄・構図が楽しめて、物語の展開スピードも速いです。
ただ若干言葉足らず、説明不足に感じるところもありますので、そう感じる方は原作や月刊サンデーGX版と併せて読むことになるかと思います。
一方、月刊サンデーGX版は原作に忠実で、謎解きや状況の解説も丁寧に、細かくしてくれるので分かりやすいです。
ただし、羅漢が想い人を見つけるシーンや月の女神降臨シーンなどを月刊ビッグガンガン版を先に読むと、「シンプルすぎるかも」と思う可能性があります。
ということで、タイプ別おすすめの読む順番はこちらです。
- 洗練された漫画と原作を堪能したい方…①月刊ビッグガンガン版→②原作小説の順
- 原作に忠実なコミカライズと原作を堪能したい方…①原作→②月刊サンデーGX版の順
- 原作もコミカライズ版を全部読みたい方…①月刊ビッグガンガン版→②原作小説→③月刊サンデーGX版
『薬屋のひとりごと』アニメ版と漫画の関連性|どっちのバージョンがアニメ化したの?
『薬屋のひとりごと』のアニメ化に際し、どちらの漫画がアニメ化したのかと話題になりました。
薬屋のひとりごとの原作漫画って二種類あるんだけど
自分が読んでるのはガンガン掲載の
ねこクラゲさんが絵を描いてる方なんだけど
アニメ化はどっちがベースなんだろう
アニメの公式サイトのスタッフ欄にはコミカライズ版の作者の名前はありません。
主なスタッフの方のお名前はこちらでした。
- 原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)
- キャラクター原案:しのとうこ
- 監督・シリーズ構成:長沼 範裕
- 副監督:筆坂 明規
- キャラクターデザイン:中谷 友紀子
アニメ版は漫画版のアニメ化ではなく、あくまで日向夏さんが書いた内容、しのとうこさんがデザインしたキャラクターのアニメ化です。
11巻の巻末でねこクラゲさんも次のコメントをしていたので、制作には直接関わっていないのでしょう。
七緒さんの構成、ねこクラゲの絵、使われるかな~
>>日向夏、ねこクラゲ、七緒一綺、しのとうこ『薬屋のひとりごと』(小学館)11巻巻末より一部引用
ただ、アニメ映像を見る限り、月刊ビッグガンガン版の『薬屋のひとりごと』に近いように見えます。
園遊会の「毒です」と告げるシーンを小説で確認したところ、しのとうこさんの挿絵が確認できなかったので、ねこクラゲさんの猫猫に近いと言っていいでしょう。
左:日向夏、ねこクラゲ、七緒一綺、しのとうこ著『薬屋のひとりごと』(スクウェア・エニックス)2巻8話
中央:『薬屋のひとりごと』プロジェクトPV/2023年TVアニメ放送決定!(TOHO animation チャンネル)
右:日向夏、倉田三ノ路、しのとうこ著『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』(小学館)2巻7話より画像引用
原作とコミカライズ二種類をチェックして、アニメとの共通点や違いを見つけるというのも、楽しそうです。
これからも『薬屋のひとりごと』から目が離せませんね!