ギャンブルの歴史は古く、その原型は古代の中国にまで遡ると言われています。いつの時代も惹きつけて離さないドキドキハラハラさせるエキサイティングな体験。
現在の日本では国内におけるギャンブル行為は、競馬などの『公営競技(公営ギャンブル)』を除いて法律で禁止されています。つまり、本場のカジノでプレイするとなると飛行機に乗ってギャンブルが合法化されている近隣諸国まで出かけていく必要があるわけですが、最近ではオンラインで楽しめるオンラインカジノも人気を集めています。
人が賭け事にハマる理由はそれぞれありますが、そこに生まれるドラマもまた、多くの人を魅了し、カジノやギャンブルをテーマに多くの映画や小説などの創作物が誕生してきました。ここでは日本が世界に誇る『マンガ文化』の中で描かれてきた、ギャンブルがテーマの名作ベスト5をご紹介していきたいと思います。
賭博黙示録カイジ
ギャンブルがテーマのマンガを聞いて、多くの人がまず初めに思い浮かべるのが福本伸行氏によるマンガ作品の数々ではないでしょうか。
なかでも『賭博黙示録カイジ』は名作として、今も日本のマンガ史に残る屈指の名作として高い評価を受けています。
1980年『月刊少年チャンピオン』に掲載された『よろしく純情大将』でデビューした福本氏は、しかし、すぐにヒット作品を生み出すことはできず、その後しばらく下積み時代を過ごしたと言われています。しかし、1996年から連載を開始した『賭博黙示録カイジ』が大ヒットします。一躍人気マンガ家の仲間入りを果たすと、他にも『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』や『銀と金』などを発表し、ギャンブルをテーマに繰り広げられる人間ドラマに多くのファンが夢中になりました。
そんな福本氏の代表作でもある『賭博黙示録カイジ』は、まともに働かず、自堕落な日々を過ごしていた主人公の伊藤開司(通称カイジ)が、友人の保証人となって多額の負債を抱えたことをきっかけに、様々なギャンブルに挑んでいく、というストーリーです。命を賭けた極限の勝負の中で繰り広げられる人間の思考や生き様は、マンガという枠すらを超えて人々に訴えかけるものがあり、マンガのシリーズ累計発行部数は2100万部を突破するほどです。また、その人気はマンガだけにとどまることなく、2007年にアニメ化されると、続いて実写映画化や舞台化されるなど、さまざまなジャンルでメディア展開されました。
銀と金
『賭博黙示録カイジ』で人気漫画家の仲間入りを果たした福本伸行氏が1992年から連載を開始したのが『銀と金』です。
「銀王」と呼ばれる裏社会のフィクサー・平井銀二と、彼に見いだされて才能を開花させ、やがて銀を超える「金」になるという望みを抱くようになる青年・森田鉄雄という、ふたりのキャラクターを中心に、株の仕手戦や政治家との裏取引といった駆け引き、殺人鬼や復讐に身を委ねた男との命を懸けた死闘、さらに福本氏が得意とするギャンブル勝負が展開されるというストーリーになっています。闇の金脈を求め、命を懸けて繰り広げられるマネーウォーズは、何度読んでも手に汗握る緊迫感で読者を楽しませてくれるでしょう。
天牌・麻雀飛龍伝説
『麻雀飛龍伝説 天牌』は、来賀友志氏が原作を担当、マンガ家・嶺岸信明氏によって描かれました。『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて1999年5月から連載がスタートしたものの、来賀氏が2022年5月に死去したことにより、残念ながら連載が中断されており、今現在未完の作品となっています。
ストーリーは、天才的な麻雀の腕を持つ主人公・沖本瞬が、本物の麻雀打ちになるために大学生の身分を捨て、新宿の雀荘を渡り歩くうちに麻雀職人と呼ばれる黒沢義明やその弟子たちと出会い、数々の強敵たちと戦い、裏社会での高額賭け麻雀など様々な対決を通して成長していくという内容になっています。
魅力的な登場人物たちによって繰り広げられるこの作品もまた、ドラマ化されるなどしてマンガの枠にとどまることなく、多くのファンを今も生み出しています。
ビリオンレーサー
競馬、競輪、競艇と並んで公営競技の1つとして知られる『オートレース』の世界を舞台にしたマンガです。オートレースと言えば、1周500m、最高速度150km/hで行われ、「極限のレース」とも称されるスピードとスリルが交錯するエキサイティングな世界です。
昼夜バイトを掛け持ちしなければならないほど、極限の節約生活を送っている青年・銭屋一生は、ある日、謎の女性から大金持ちにならないかと誘われます。その方法がギャンブルだと知り一度は断るものの、一夜にして無一文となってしまった彼はやがてオートレースの世界に踏み込んでいくことになる…というのがこのマンガのストーリーです。
迫力満点のオートレースシーンはもちろんのこと、そこで繰り広げられる人間ドラマは読むものを惹きつけて離しません。
モンキーターン
オートレースと並んで人気のある公営競技のひとつが『競艇』です。この競艇をテーマにした河合克敏氏によるマンガ『モンキーターン』は、『週刊少年サンデー』にて1996年から2005年まで連載され、累計発行部数が2021年1月時点で1000万部を突破するほどの根強い人気を誇っている作品です。
河合氏と言えば、柔道をテーマにした名作マンガ『帯をギュッとね!』でも知られていますが、このモンキーターンも名作として知られており、日本船舶振興会からも競艇初心者の入門書として推薦されていた過去があります。また、実際にこの作品を読んだことがきっかけに、競艇選手になった人もいるなど、多くの人に影響を与え続けています。
ストーリーは、野球一筋の人生を送ってきた主人公の少年、波多野憲二が、高校生活最後の夏の甲子園予選で敗退した後、競艇ファンの担任と競艇選手のOGに連れられてやってきた競艇場で体験したモーターボートの感触とモンキーターンに魅了され、野球をやめて競艇選手になることを決意するところから始まります。
必死の勉強と、長年培ってきた持ち前の身体能力で、競艇選手の養成所・本栖研修所に合格し、研修所を卒業して競艇選手となり、波瀾万丈の選手生活を送ることになります。
ハチワンダイバー
賭け将棋がテーマの『ハチワンダイバー』は、柴田ヨクサル氏によるマンガ作品です。プロ棋士を目指していたものの、人間関係や社会的なプレッシャーに苦しんで挫折した若き将棋プレイヤー・菅田健太郎が、様々な対局を通じて成長していくという物語になっています。
タイトルの『ハチワンダイバー』とは、主人公が集中して本気を出す時などに「ダイブ!」と叫び、自らを9×9=81マスの将棋盤に潜る者=ハチワンダイバーと名乗るところに由来しています。